2.日朝両国間の障壁
2国間に存在する問題は無数にあるのかもしれないし、それほど多くないのかもしれません。私などには計り知れないことであると承知しつつも、いくつかの問題について日ごろ考えていることを述べてみることにします。
・拉致問題について
この問題は人権及び人権蹂躙への補償と、犯罪捜査及び犯罪人に対する処分という2つの側面があります。人権問題では、今となっては原則論を超えた判断や対処が必要であって、主として拉致被害者の現在の意思が最優先されるべきでしょう。蓮池さんや地村さん、曽我さんのように家族ぐるみで帰国を望まれ果たされたことは本当に良かったと思いますし、そのことによって幸せになられることと確信します。しかし、被害者の中には彼らとは異なる条件下で生活することを余儀なくされている人たちがいることも確かなことであり、そうした人たちの希望される道筋は必ずしも蓮池さんや地村さん曽我さんと同じではないかもしれません。「即時帰国」の日本側要求に対して北朝鮮当局が明確な態度を取れないのは、むしろ被害者自身の気持ちの中に躊躇いがあるから、ということも考えられます。いずれにしろ、彼らの本心を私たちが(政府やご家族も含めて)知ることは困難なことのようです。したがって最も確実な方法は、国交を正常化し自由往来を可能にすることです。
拉致犯罪の捜査ですが、実行犯が明らかになった今、政府として2国間協議であれ6カ国協議であれ、北朝鮮に犯人の身柄引き渡しを要求すべきでしょう。国連に仲介を依頼し、国際法に基づいて実行させることも可能だと思われます。このような問題も国交が正常化され犯罪人引渡し条約が締結されるならば、現在の米兵による犯罪に関してアメリカに引渡しを要求すること以上に、スムースに事が運ぶように思われます。
・核兵器をはじめとする軍備拡大について
2002年1月にブッシュにより「悪の枢軸」というレッテルを貼られ、イラク同様アメリカが先制攻撃できる対象と位置づけられて以来、北朝鮮は核開発と核兵器保有を宣伝し始めました。私にはこのやり方は絶対に肯定できないことですが、「国を守るために軍隊が必要」と考える人たちと同じ論理のように思えます。ところがその年の9月『日朝平壌宣言』が両国首脳の間で交わされました。ここには互いの安全を脅かす行動はとらないことやミサイル発射のモラトリアムが謳われています。現に国際世論を押し切ってまでイラク侵攻を行っているネオコンブッシュからプレッシャーをかけられている中でのこの『宣言』は、高く評価できるのではないでしょうか。6カ国協議のあり方が「これを飲め、いやなら叩く。」といことでなく、互いに信頼関係が築けるようなものへと発展していくことを願うばかりです。一番の理想は、日本代表の強いアピールによって6カ国が互いに核を廃棄し軍縮へと向かうことです。
・戦後補償について
この問題は事情が複雑で説明がややこしくかつ面倒くさいので、結論だけ述べると、日本が戦争で関与した30数カ国とはサンフランシスコ講和条約に基づく賠償条約によって国家間レベルでは解決されているものの、唯一北朝鮮とだけは未解決のままだということです。したがって国交正常化が実現するしないにかかわらず、原則としては、日本は北朝鮮への戦後賠償の義務がありながら、今日に至っても依然として棚上げ状態のままであるといえるでしょう。ただしこの問題は2002年の『日朝平壌宣言』において国交正常化交渉の中で協議するという方向が明確に示されました。もっとも戦後補償には個人補償も含まれますから、日本が植民地支配していた国々の被害者への補償は未解決の部分が多く残っています。
次回は「日本が外国からの武力攻撃を受ける局面」について考えてみたいと思います。
・拉致問題について
この問題は人権及び人権蹂躙への補償と、犯罪捜査及び犯罪人に対する処分という2つの側面があります。人権問題では、今となっては原則論を超えた判断や対処が必要であって、主として拉致被害者の現在の意思が最優先されるべきでしょう。蓮池さんや地村さん、曽我さんのように家族ぐるみで帰国を望まれ果たされたことは本当に良かったと思いますし、そのことによって幸せになられることと確信します。しかし、被害者の中には彼らとは異なる条件下で生活することを余儀なくされている人たちがいることも確かなことであり、そうした人たちの希望される道筋は必ずしも蓮池さんや地村さん曽我さんと同じではないかもしれません。「即時帰国」の日本側要求に対して北朝鮮当局が明確な態度を取れないのは、むしろ被害者自身の気持ちの中に躊躇いがあるから、ということも考えられます。いずれにしろ、彼らの本心を私たちが(政府やご家族も含めて)知ることは困難なことのようです。したがって最も確実な方法は、国交を正常化し自由往来を可能にすることです。
拉致犯罪の捜査ですが、実行犯が明らかになった今、政府として2国間協議であれ6カ国協議であれ、北朝鮮に犯人の身柄引き渡しを要求すべきでしょう。国連に仲介を依頼し、国際法に基づいて実行させることも可能だと思われます。このような問題も国交が正常化され犯罪人引渡し条約が締結されるならば、現在の米兵による犯罪に関してアメリカに引渡しを要求すること以上に、スムースに事が運ぶように思われます。
・核兵器をはじめとする軍備拡大について
2002年1月にブッシュにより「悪の枢軸」というレッテルを貼られ、イラク同様アメリカが先制攻撃できる対象と位置づけられて以来、北朝鮮は核開発と核兵器保有を宣伝し始めました。私にはこのやり方は絶対に肯定できないことですが、「国を守るために軍隊が必要」と考える人たちと同じ論理のように思えます。ところがその年の9月『日朝平壌宣言』が両国首脳の間で交わされました。ここには互いの安全を脅かす行動はとらないことやミサイル発射のモラトリアムが謳われています。現に国際世論を押し切ってまでイラク侵攻を行っているネオコンブッシュからプレッシャーをかけられている中でのこの『宣言』は、高く評価できるのではないでしょうか。6カ国協議のあり方が「これを飲め、いやなら叩く。」といことでなく、互いに信頼関係が築けるようなものへと発展していくことを願うばかりです。一番の理想は、日本代表の強いアピールによって6カ国が互いに核を廃棄し軍縮へと向かうことです。
・戦後補償について
この問題は事情が複雑で説明がややこしくかつ面倒くさいので、結論だけ述べると、日本が戦争で関与した30数カ国とはサンフランシスコ講和条約に基づく賠償条約によって国家間レベルでは解決されているものの、唯一北朝鮮とだけは未解決のままだということです。したがって国交正常化が実現するしないにかかわらず、原則としては、日本は北朝鮮への戦後賠償の義務がありながら、今日に至っても依然として棚上げ状態のままであるといえるでしょう。ただしこの問題は2002年の『日朝平壌宣言』において国交正常化交渉の中で協議するという方向が明確に示されました。もっとも戦後補償には個人補償も含まれますから、日本が植民地支配していた国々の被害者への補償は未解決の部分が多く残っています。
次回は「日本が外国からの武力攻撃を受ける局面」について考えてみたいと思います。
by kobo1947 | 2006-01-10 19:18 | 日々思うこと